ブレーキ鳴き 問題点1
不具合1 | [ブレーキ鳴きが出る] “ブレーキ鳴き”は、パッドとローターの間で発生する摩擦力が原因で振動がおこる現象です。 この振動の周波数によって、車体振動がおこったり、「キー・グー」等の音として聞こえます。 ブレーキ鳴きを止めたり、かるくするためには、振動自体を無くすことや不快な音にならない周波数にすることが必要になってきます。 また、振動周波数は車種・使用状況・使用環境等で変化しますので、常に現状の的確な把握がブレーキ鳴き対策のポイントとなります。 動いている物体に静止している物体を押し付けると、その大小の差はありますが、かならず振動は発生します。 (例) レコード盤=ローター、プレーヤーの針=パット、増幅器=足回り・キャリパー・車体. |
不具合問診 | [不具合問診]: 問診により不具合各部位の推測や対応を検討します。 一般的にブレーキ鳴きのなかで「キー音」が多いため、詳しい問診を行わずにブレーキパッドの脱着を行い、パッドへ必要以上に対策を行った結果、制動力不足や早期磨耗の原因を作ってしまうこともあります。 [1]. 音の種類: どのような鳴きか?(キー音・グー音) [2]. 状況: いつ発生したか?、そのときの天候は?、発生頻度は?、発生場所は? [3]. 温度: 走り出してどのくらいか?(時間・距離) [4]. フィーリング: ブレーキのかけ方(急制動・緩制動)、ブレーキをかけていないときは? |
ブレーキを軽く踏んだ時や停止寸前にキー音が発生する 問題点2
不具合2 | [ブレーキ鳴きがキー音と判断した場合] ブレーキ鳴きで一番多いのがキー音です。また、関係している部位が多く、的確な対応を行っても使用状況の変化や気候の変化で再発する可能性があります。 ブレーキ鳴きの低減方法はいろいろありますがここでは一般的に有効とされている方法をご紹介いたします。 [1]: パッドの残量確認 [2]: ローター点検。表面研磨・段つき除去・反り・振れ点検 [3]: キャリパー稼動部の点検・グリス塗布 [4]: 形状加工 [5]: シムの点検とグリスの塗布 [6]: ピストンバック [7]: パッド裏板点検、修正 |
パッドの残量 | [パッドの残量] 自動車メーカーの基準ではブレーキパッドの使用限界は残量1mmの会社もあります。 しかし、この使用限界はあくまで限界ですので、安全のためには残量2~3mmを推奨します。 また、最近のブレーキパッドには(すべてではないですが)磨耗センサー(ウェアインジケーター)が装着されており、使用限界に近くなると、異音を発生させて知らせる仕組みもあります。 万が一ブレーキパッドの使用限界を超えた場合、対面するローターに損害を与え、最悪ブレーキが利かなくなり、危険を伴います。したがってブレーキパッドの残量は定期的に確認を行い、次回点検時までに余裕をもった交換が必要となります。 [特記事項] |
ローターの状態 | [ローターの状態・段付磨耗・スコーリング] スコーリング(溝状磨耗)や段付磨耗になるとブレーキ鳴きの原因になります。 この場合研磨を行うか、ローターそのもを交換する必要があります。 セミメタ: ブレーキを踏んでいなくてもローターが削れる。 高速でローターがガタガタぶれる ⇒ この場合パットとローターを同時に変える。 |
キャリパーの状態 | [キャリパーの状態] 各部のグリス塗布を行い可動部がスムーズに動くことを確認してください。 また、キャリパーピストンのダストブーツの点検及びピストンの動きを確認し必要に応じてオーバーホールを行って下さい。 |
形状加工による対応 | [形状加工による対応]: 形状加工は必要以上に大きくしない事(早期磨耗防止の為)。
端部チャンファーカット: スリット加工 |
ブレーキを踏んだ時にゴー・グー音がする 問題点3
不具合3 | 上記の不具合は下記の項目が原因で起こります。
[1]: 磨耗により摩擦材がなくなり裏板がローターに接触 [2]: ローターが過度の熱履歴を受けひずみが発生した場合 [3]: ローターに錆が発生した場合(ジャダーが発生) [4]: ローターとパッドの間に異物が噛みこんだ場合 [5]: キャリパー取り付けに不具合がある場合 |
ブレーキをふまない時の異音 問題点4
不具合4 | ブレーキを踏まない状態で発生する異音で考えられる不具合は、ブレーキパッドの引きずりです(キャリパーがきちんともどってない!)。
通常キャリパーの状態が良好でパッドの組み付けが正常であれば起こりにくい現象です。 |
ブレーキを踏むと振動が出る 問題点5
不具合5 | ジャダー: ブレーキを踏んだときにハンドルやブレーキペダルに振動が発生することを「ジャダー」といいます。
このジャダーは一般的にブレーキの不具合とされていますが、実際はブレーキをきっかけとした車体全体の不具合でもあります。 [1]. ローターの歪み・変形 ローター関連の不具合対処法は異音で取り上げた内容と同様です。 |
ブレーキの効きが悪い・効かない 問題点6
不具合6 | ブレーキの効き具合は車両やドライバーにより評価がまちまちですが、ここでは取り付け直後の効き不良と、使用中の聞き不良について説明します。
[1]. ブレーキパッドとローターの当たり不良
[2]. キャリパー作動不良 [3]. ブレーキパッドの組み付け不良 |
使用中の効き不良 問題点7
不具合7 | ブレーキは車の走行エネルギーを熱に変換し車をとめる装置です。このことからブレーキを頻繁に使用すると、ブレーキ自体が発熱し高温になります。 走行中の効き不良には熱が起因して発生するものとしてフェードとベーパーロックがあります。 [1]. フェードによる不具合 しかし、フェード状態が繰り返し起こるような使用を行うと磨耗が急激に進み、摩擦材表面が灰化した事による性動力不足になり、最悪ブレーキが効かなくなる可能性があります。この事より、過積載や高負荷運転は行わないようお願いいたします フェードを防ぐには
[2].ベーパーロックによる不具合 また、ブレーキフルードの交換を長期間行わないと、ブレーキフルード内の水分量が増加し、沸騰温度が低下することでベーパーロックが発生しやすくなります。 ベーパーロックが発生した場合、ブレーキが冷えるとブレーキペダルの踏み応えは元に戻りますが、ブレーキ配管内に気泡が残るので、ブレーキのエアー抜き作業が必要です。 [トピック] |
ブレーキパッドの減りが早い 問題点8
不具合8 | ブレーキパッドは通常、適合車種での想定距離を目安に開発されております。 しかし、運転状況や積載状態等で大きく変化します。減りが著しく早い場合は下記の原因が考えられますので点検・調整が必要になります。樹脂は熱に弱く、300℃で分解してしまいます。 [1]. 高負荷運転によりブレーキパッドが高温で使用された。 [2]. キャリパーの作動不良による引きずり [3]. ローター表面の荒れ |